【感想】フロレアール ~すきすきだいすき~
フロレアール 〜すきすきだいすき〜 - アダルトPCゲーム - FANZA GAMES(旧DMM GAMES.R18)
お久しぶりです、ブログの存在を忘れていましたミヤです。
正確には忘れてはいなかったんですがなんとなく文章を書く気力がわかなくて放置してましたすみません。ちまちま何本か亀のごとくスピードでやってはいたんですけどね…
でもこちらの作品の感想を語るにあたって、ツイッターだとネタバレ&長文になってしまいそうだったので…こうして数か月ぶりに筆をとることにしました。
以前sense offというゲームをやった時に、元長氏のシナリオにいたく感銘を受けまして、今回やっと手を出すことができました。ふろれあーる。ちなみにsense offの記事はこちらになります。
フロレアール以外にも未来にキスをとか猫撫とかギャングスタとか元長氏がシナリオ担当のゲームでやりたいのはいっぱいあるんです!!みらキスは積んでますが…
その中でも比較的プレイ時間の短いフロレアールならさくっとプレイできるかなと思って選びました。最近年齢のせいか集中力が続かず長いゲームだと途中でダレてしまうんですよね…
前置きが長くなりましたが早速感想書いていきたいと思います。クリア直後で感情がめちゃくちゃなのでいつも以上に乱れた文章になるであろうことはお許しください。
- キャラクターについて
ヒロインは彼女、メルンのみになります。ヒロインというか、まぁまぁ閉鎖的な世界観のためキャラクターもほぼ主人公とメルンくらいしか出てきません。立ち絵もメルンのみ。他キャラもボイスはありますが…ほとんど出てこないですね。
主人公を「ご主人様」と呼び慕い、従順で、素直で、汚れを知らない女の子。元長氏シナリオにありがち(?)な、人を食ったような主人公が嘘をついてメルンをからかってみたり、弄ってみたり、日常シーンでの何気ないやりとりがほのぼのとして好きでした。舌足らずな話し方も可愛い。
- グラフィックについて
まぁ特徴的な絵ですよね。上述の通りメルンしか人物絵は出てこないのですが…CGも、とてもエロい!!!というわけではないですがどこか印象に残るイラストです。
とあるシーンのメルンの表情には思わずぞくりときました。ホラー的な意味で。
恍惚の表情というんですかね。狂ってる、が一番近いかも。気になる方は自分でプレイして見てみよう!!
- BGMについて
可もなく不可もなく。古いゲームなのでやっぱり今と比べるとチープで単調な感じは否めませんが、変な使い方してるわけでもないのでプレイ中は気になりませんでした。あ、ボーカル曲はないです。
- システム面について
ビジュアルノベル形式なので画面全体に文章が出るスタイルですね。
あと仕方ないですがUIが古いです。ただ選択肢が少なく短いシナリオなので、そこまでセーブすることもないかと。EDリストがあって、それぞれ見返すことができるのはよかった。そして昔のゲームにありがちな爆速スキップ。
- エロシーンについて
シチュエーションによっては刺さる人はいるかもしれないですが、単純にエロいかどうか聞かれるとうーん…文章はどちらかというと官能小説寄りです。文学的。
私はそもそも仙人なのでエロくてもエロくなくてもどっちでもいいんですけどね。
ただもうちょっと切羽詰まったボイスが聴きたかった。酷いことされてるときはもっと死にそうな声上げてほしかったかも。
- シナリオについて
以下ネタバレになります。スクロールしてどうぞ。今回マジのマジでネタバレ全開なのでプレイ予定のある人は絶対読まないでください。フリとかじゃないですからね。
このフロレアールという作品は、それぞれ主人公やメルンの設定が違う五つの物語から成り立ちます。キャラクターは同じですが、主人公が不思議な病気を患っていたり、メルンがメイドなどではなく知り合いから押し付けられた子だったり、駆け落ちしたり、主人公が射殺されたり、そもそもメルンが主人公をお兄ちゃんと呼ぶ世界まで様々です。
最初に見れる日常シナリオのED二つとそのあと解放される非日常シナリオのED二つはまるで毛色が違っていて、そのアンバランスさを楽しむシナリオ構成なのかなーと思っていました。
たしかに日常シナリオでのほのぼのしたやりとりから一転して、非日常シナリオに突入した時の暗澹たる空気感との落差には引き込まれるものがありました。
その落差があるからこそ熱中してしまうんだな、と。もちろん日常シナリオにも随所に気になる点(主人公のトラウマ、過去話、メルンが外に出てはいけない理由など)がちりばめられていて、続きが気になってクリックする手が止まらず……
選択肢によって設定が変わったり分岐していくのですが、これはノベルゲームにおいては普通のことです。だから最後のルートで明らかになるギミックには気づかなかったんですよね…
で、ですよ。そんなオムニバス的な主人公とメルンの物語を読んだのち、最終的に入るルートでは、主人公が「自分とメルンは物語の中の登場人物で、決められた幸福を永遠に繰り返しているだけだ」と気づいてしまうんですね。
プレイしていて思わず鳥肌が立ったのは上のシーンでした。
「このやりとり別のルートでもしてたなぁ…あれ、でも既読スキップが効かない…」と思った矢先の主人公のこのモノローグです。
自分の考えていることがそのまま主人公にトレースされたみたいで思わず手が止まりました。その瞬間、気づきました。なるほどそういうことか~~~って。(突然の語彙喪失)
これだからノベルゲーはやめらんねぇぜ。このカタルシスのためにプレイしてるようなもんですし…
あと他に好きなシーンをつらつらと。
「人は分かり合うことができない」っていうのが主人公の基本的な考え方です。互いを理解できないからこそ近づこうとすればするほど傷つけてしまい、不幸にしてしまうと。
それに対して、メルンはこう言ってます。
はぁ~~~~~…好き…エモくないですか??
メルンはずっと主人公と一緒に過ごして、こう思ってたんですよ。主人公は難しいこと色々考えていて、それも間違ってないと思うんです。人と人が本当の意味で分かりあうことなんてないですし、分かり合えないからこそ分かり合うために近づくんだと私は思います。
でもメルンはそんなの抜きにして純粋に主人公のことが好きで、好きだからこそ甘んじて拷問を受けていたんだなって。何度も言ってたんですよ。どのルートでも「こんなことをされても私が喜ぶのは、ご主人様だからこそです」って。その言葉の深さに、最後の最後のこの文章で気づいて、手が震えました。
また、主人公は「決められた幸せをなぞるだけの世界を作った神」に反逆するために、神さえも予想できない方法(メルンへの凌辱)を行いますが、それは失敗に終わります。結局物語の中からは抜け出せず。主人公は廃人になります。
なんで廃人になったかは正直よくわからないのですが、作られた世界から抜け出すために意識だけでも断絶させてほかの世界に飛んだとかそんな感じですかね。
そして残されたメルンは甲斐甲斐しく世話をしながら、主人公が元に戻るのを長い間待っていました。その時のシーン。
純粋に好きだなってなった文章です。この二枚のキャプチャにフロレアールという作品のすべてが込められているような気がして。
ここでメルンが言う「幸せ」ですら、結局主人公が望まなかった「外界(物語の作り手)によって作られたもの」なんですよね。こんなに尊いのに、そっか、作り物なのか…と思って物悲しくなりました。
でも幸せならオッケーです。
ハッピーエンドで終わってよかった。
以上です。胸を張って好きだと言える作品でした。