【感想】sense off
前回の記事でも少し触れたのですが、otherwiseのsense offという作品を進めていまして、ついさっき終わったので思ったことをまとめていこうかと思います。
私はもともとbirthday eveというI'veの曲が大好きでして、メロディはもちろん、SFチックな、それでいて胸にすとんと落ちる様な印象的な歌詞に惹かれて、かねてから歌詞の本当の意味を知りたいと思っていました。まぁそれで、今回原作ゲームをやるに至ったわけです。
下に貼ってあるのは原曲ではなく橋本みゆきさんがカバーしたバージョンですが、個人的に好きなカバーなので貼っておきます。巷では歌詞がネタバレとも言われているらしいですが、正直歌詞だけ見てもゲームの内容なんてやってない人からしたら全くわからないので問題ないです。とにかく聞いて。
歌詞の本当の意味についてはまた後ほど語るとして、ゲームの内容に触れていきたいと思います。今回は画像ほぼないです。そしてゲームをプレイした人が読む前提で話しますので、今後少しでもこのゲームをプレイする予定がある方は読まないほうがいいかもです。以下攻略した順。
●織永成瀬ルート
個人的には好きなヒロイン。けなげな幼馴染キャラ(そして主人公にすぐだまされちゃうくらい純真)っていいよね…ちなみに記事冒頭の子が成瀬ちゃん。
最終的に自分の背負った世界の未来の重さに耐えきれず、この子は自らの命を絶つことを選びました。唐突な成瀬の死は私は全く予想していなかったので、「え、なんで!?どうして!?」と戸惑ったけれども、このゲームにおいてはなぜそうなったかなんていう理由は大事じゃなくて、その結果に対してキャラクターがどう行動するかに重きがおかれているのかな…なんて最初の攻略キャラにしてこのゲームの方向性がなんとなくわかったので理解はしました。
birthday eveが流れるのを心待ちにしていたのに、コズミック・ランというED一曲目のインスト曲が流れて若干焦りました。と思いきや実は続きが。なんと転生(?)して主人公と付き合う成瀬。わけわかめ…
●埴島珠季ルート
自分の超能力が暴走するあまり主人公と離れようとする珠季。最終的には主人公を守って珠季は身体的な死を迎えるのですが、そこで精神的に結び付き(?)主人公の中で一体となって生き続ける…というエンド。
グランマはいったいなんだったのか?珠季の持つ超能力が性格を持って具現化した存在かと思った。けど思惟生命体とは関係ない存在なのかな?多分珠季は思惟生命体。
全ルートやったあとだと、二人一組で共同生命体として生きていくこのENDの意味が分かる気がする。初見でもここまではまだ理解できた。
●真壁椎子ルート
レビューサイトを見てるとこのルートが一番評価が高いっぽいというか、椎子が人気らしいのだけど、その魅力がわからず。インテリエロゲとの評判を聞いてそれを目当てでプレイした人には「キター!」って感じだろうけど、私は別に…あ、いや面白くないわけじゃないです。純粋に元長氏の知識量には驚きました。知識量というか、文章力。それまでのルートは全体的に淡々と述べる文章だったにも関わらず、「この人こんなに表現力あるんだ」って素直に引き込まれました。世界史や数学、そっちの興味や学がない人にとっては「ナニコレ?」ってなりそう。
ただ上述の過去編まではふんふん、と理解しながら読み進めていたのだけど、最後でぽかーん。なんていうか…記憶に残らない…どうして主人公が死ぬことによって世界が救われるのかそこの説明がなかった気がする。今考えると美凪ルートで言われていた膨大な悪意に襲われるみたいなことなんだろうか。それにしたって最後に結局死なないでハッピーエンドの意味もわからなくて、そこで私は理解をやめました。全ルートクリアすればわかるはずだ…と淡い期待を抱きつつ次のルートへ。(結局今もわかってない)
●三條美凪ルート
はい好き。関西弁キャラすっきやねん。初見で「美凪…?AIRかな…」って思ったけど全然似てないし今はもう美凪ちゃんといえばこっち。余談だけどそろそろ夏だしAIRやり直したいなー…って考えてもう何年目だ…
個人的にこの子と成瀬がトップ2。美凪ちゃんの能力は人の心を本人の意思に関係なく読んでしまういわゆる「サトリ」みたいなもんですね。
このルートはね…個人的に美凪ちゃんが好きっていうのもあるんですけど、何よりもこの子の能力は他のキャラよりもリアリティがあるというか、「人の心が読めてしまうってどれだけ辛いんだろう」って想像に難くなく、そこが読んでいて心が痛かったです。他のキャラクターはSF的な能力ばかりなので、創作物として読めるのですが…
ただしエンディング。これもまた思考放棄しました。百歩譲って宇宙人だとか共同生命体とか番いとか、そういうのはまぁわかる。前のルートでもちょくちょく出てたしね。いや…なんで美凪ちゃんが救えちゃうの?そんな能力ちゃうやん…
一番もやもやが残るルートでしたね。しかしそんなちんぷんかんぷんな状態でもbirthday eveが流れると「ふぁーーーいいエンドだったなぁーーー(脳死)」って錯覚させられるから音楽のちからってすごい。
あとあの異常な嗅覚は結局伏線でもなんでもなかったのかね…
●御陵透子ルート
てっきりこの子のルートがTrueだと思ってました。でも間違ってはいないのかな?って私は思います。自分の認識した通りに世界が再構築されてしまう能力…途中まで透子が「私は意味が喪われている」だとかむつかしいことばかり言うのでこのルートも頭使うんかな…と思ったけどそうでもなかった。なんだハルヒと同じ能力か。って気付いた後はわりかし理解しやすいルートだったかなと思います。ただハルヒと違うのは、世界の構築は自分の意思とは関係なく行われること。透子がそう認識してしまったなら世界はその瞬間に作り替わり、変わったことすら誰も気づかないまま新しい世界は続いていく。
結果的に透子は恋をしてしまったことにより「自分を自分と認識できなくなった」ため世界から消えてしまいますが(この辺も言葉で説明するの難しい)、
また転生しとる…!!だって「今私が消滅したら記憶を保ったまま次の転生はできない」みたいなこと言ってたのに…
●飛鳥井慧子ルート
他のルートとは明らかに異質なルートで、どうして立ち絵がないんだろうと思っていたけどそういうことでした。これがTrueだと考える方も多いようですが、あくまで私の中ではサブシナリオです。エンディングも相変わらずよくわからない(多分ダントツでわからなかった)けど、身体を持たず一方的に生かされ、孤独の中で主人公と出会った慧子は、彼にどれだけ救われたか。幸せとは言えない人生だっただろうけど、せめて最後くらいはよくわからない空間でハッピーエンドになったとしてもいいじゃない!ってことでこれはこれでもういいです。(またも思考放棄)
●主人公
主人公のキャラクターが気に入った人はきっと日常パートも好きになれると思います。私はすごく楽しかったので、永遠にみんなでわいわいしてる掛け合いを見ていたかったかな。能力は「他人の運命を捻じ曲げてしまう」というもの。そりゃ人と関わり合いながら生きる以上は誰しもが誰かの運命を変えてしまうだろうに、ちょっとこの能力は抽象的すぎませんか。そしてあともう一つ予測する能力みたいのもあったはずだけど忘れた。たしか椎子ルートだったかな。
寝坊大好きな主人公が休みの日まで律儀に目覚ましをかけるのは何かの伏線かと思ったけど違った。そして主人公の考える事が珠季にだけ筒抜けなのも伏線かと思ったけど、多分これは珠季の能力…っていうかこれ美凪ちゃんの能力の方が近いような…
●まとめ
期待通りの作品でした。もともとライター買いでもあったのですが、初の元長氏の作品にしてはすごく満足のいく、というか、もっと元長氏のゲームやりたーい!って思わせてくれる作品でした。短くてさくっと終れるのもいいね。
各ルートとも終盤の展開が唐突だったり描写不足だったりしたし、箱庭的世界で少人数でわちゃわちゃする作品が好きな私にとってはもっと日常シーンもほしかったなぁとか思うけれども、あんまり長すぎても疲れちゃうしね。(やる方が)
きっとこの作品は詩のようなもので、短いワードでどれだけ受け手に伝えられるか、受け手に考える余地を与え、正解はない、そういうゲームだと感じました。
senseは感覚、offは遮断する。ともすれば、この作品のすべてを理解できないのも、元長氏がわざとそうなるように書いたと考えると納得…できない?
自分の考える事が全て相手に伝わるわけでもなく、人によって受け方も違う、認識をテーマにしているゲームならそれでいいのかなって思います。
考察とかよくわかりません。とにかく、最高のゲームでした。私にはこれ以上なく「合う」ゲームでした。ありがとうございます。